ザ・シーク(2)前回、書ききれなかったシークに関することを追加したい。(誰も読んでいないかもしれんが) ザ・シークは当時、大人の間でも子供の間でも、来日してほしい強豪レスラーの常にトップを占めていた。 実際に、当時はデトロイト地区の大プロモーターかつ大人気レスラーで来日できるようなスケジュールの余裕はなかったようである。 当時は、ザ・シークの子分格のアブドーラ・ザ・ブッチャーが先に来日して大人気レスラーになっていったが、 その間でも少年雑誌のプロレス特集などで、シークに関する様々なイラストが描かれてファンの興味をかきたてた。 火を吹くアラビアの怪人として、アラビアのベールをかぶって、アラビア風美女を従えて入場する姿、 そして時には、その美女が一人で登場してきてリング上でアラジンの魔法のランプに出てきそうな香炉からもくもくと煙を放ち、 その煙が消え始めると、いつの間にか、シークがリング上で仁王立ちしているシーン(これはジャイアント台風のマンガですな)、 そしてピンチになると口から炎を吹くザ・シーク、などなど。 まあかなり誇張もあったようだが、実際にもリング上で絨毯を敷いてアラーの神に勝利の祈りを捧げたりするシーンは ビデオでもよく見られた。 そしてシークの祈りにじれてレフリーにやめさせるように、相手レスラーがレフリーに抗議し出してスキを見せたとたんに シークがいきなり襲い掛かり、一気にフォールを奪う! というのがシークの戦法の一つでもあった。 これは、ジャイアント馬場がロサンゼルスで行われたインター防衛戦で一本目をとられたとき、そういう目にあったはずである。 オレの印象としても、晩年になっても、シークは全日本プロレスに参戦したときは短剣を歯に加えてムチを持って、 放送席の近くにいた若手の手に向って いきなりその短剣を突き刺そうとして、その若手が必死でいち早く手を引っ込めるて、シークの短剣がテーブルに音をたてて 突き刺さるという、すっげー怖ええシーンをTVを通して目撃した。 とにかく何をするかわからない恐怖がシークにあった。 当時のプロレス雑誌でも、シークが初来日したとき会場の移動で新幹線に乗ったが 社内の売り子の女の子が足がすくんで前に足が出なかったことがあり、 理由を聞くと、シークの目が怖くて動けなかったそうである。 確かにシークは眼光鋭く存在そのものが怖いというか、 そもそもオフの写真でも笑っている姿を見たことがない。 そういうエピソードが枚挙に暇がないレスラーの代表がシークであり、 やはり今のレスラーは筋肉的なパワーと技は開発しているものの、 そういう威圧感に欠けているというか、物足りなく感じる。 そういうシークが最晩年にFMWに登場し、オレも最後のチャンスと思い 後楽園ホールまで足を運んだことがあったが、 年齢が年齢だけに(当時で70歳を超えていた) シークが何をやってもファンからはシークコールが沸き起こり続けた。 史上最悪の嫌われ者レスラーであることを誇りにしていたシークとしては 不本意だったのではないかと思う。 |